田中千代服飾事典





事典との出会い

 帰国後始めたカネボウの仕事、洋裁教育の仕事は、英、仏、独のファッション用語を日本語に正しく直し、説明する必要性を生んだ。これが事典編纂の切っ掛けとなった。 1955年、婦人画報の依頼で、それまで収録した新語を始めて1万語にまとめ上げ、図解服飾事典と名づけて発刊し、改訂を重ねた。諸事情からその後同文書院の手に移り、1969年現在の田中千代服飾事典を完成させた。改訂、増補を重ね、今では1万7000語の新増補版となっている。

 私の研究室では今なお、あらゆるものからの収集の毎日が続いている。近頃では昔のものに新しいものが合体し、ニュー・××という用語まで登場している。これに目を通す時、私にとって愛着のある一語一語というだけでなく、私の良き協力者たちまで手をつないでいるような感じで、単なる一冊の本でなく生きもののようにさえ思えてくる。誰かの目、手、心によって集積され、いつまでも続いて欲しいと願っている。
                    (1982年 50年史より)


 (以後も改定、増補を重ね、現在2万4689項目に及んでいる)。




              発行所 同文書院



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